J-PARC加速器

J-PARCプロジェクトでは、高エネルギー陽子ビームのターゲットへの照射で発生する二次粒子を使った素粒子・原子核・物性などの幅広い実験を行います。J-PARC加速器では、二次粒子の素となる高エネルギー・大強度の陽子加速器の研究を行っています。

目的・ビジョン
高エネルギーの陽子ビームを炭素・水銀などのターゲットに照射することで、 K中間子、 パイ中間子、ミュー粒子、中性子、ニュートリノなどの二次粒子を発生させることができます。これらの二次粒子を用いて物質・生命科学から素粒子原子核、さらには宇宙創成の謎に迫る多様な実験を行う実験施設がJ-PARCです。

J-PARC MRシンクロトロンはJ-PARC最大の加速器で、300億電子ボルト(30GeV)750キロワット(KW)の陽子ビームを安定にこれらの実験施設に供給するための研究を進めています。当初の予定を上回る1メガワット(MW)超の陽子ビームを実現するための研究も合わせて行っています。

概要
ニュートリノ天文学の創成などの功績によりノーベル賞を受賞した小柴昌俊博士が創設したニュートリノ観測実験施設がKamiokande (後にSuper-Kamiokandeに増強された)です。 J-PARCの前身ともいえる120億電子ボルト(12GeV)陽子シンクロトロン(KEK-PS)で生成したニュートリノをSuper-Kamiokandeで検出する実験はK2K(KEK to Kamioka)と呼ばれました。このK2K実験では、それまで質量がないと考えられていたニュートリノは実は微小ながら質量をもつことを意味するニュートリノ振動の存在が99.997%の確率で証明されました。このK2K実験のさらなる発展となるT2K(Tokai to Kamioka)実験にKEK-PSの100倍を越える強度のニュートリノビームを供給することがJ-PARC加速器の大きな目標の一つです。

また、MRから2秒程度の時間をかけてゆっくりと取り出された陽子ビームを用いるハドロン実験施設では、ストレンジクォークを含む系での核力の研究や、中性K中間子の崩壊から小林・益川理論で記述されるCP対称性の破れを精密測定する研究などが行われています。ほかにも、J-PARCでは、LINAC/RCS/MRの三台の加速器を効率よく利用することによって、陽子ビームから発生する中性子、ミュー粒子、K中間子、パイ中間子などの二次粒子を用いた幅広い科学を推進しています。

 

パンフレット (pdf 5.4MB)

関連するWebページ
J-PARC https://www.j-parc.jp/
J−PARC 加速器 https://www.j-parc.jp/Acc/ja/index.html
Super-Kamiokande http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/
JAEA https://www.jaea.go.jp/

いばらき量子ビーム研究センター http://www.pref.ibaraki.jp/kikaku/kagaku/kenkyu_kaihatsu/ryoshi_beam.html

関連する研究施設
物質・生命科学実験棟 https://www.kek.jp/ja/research/fa_imss/mlf/